
#05「 3Dコンテンツ “帳” 」

「帳 VIRTUAL SHIBUYA EXPERIENCE」
前編でも触れたように、今回のコラボレーションのローンチに合わせて、作品や商品の魅力を味わうことができる仮想空間「帳 VIRTUAL SHIBUYA EXPERIENCE」を制作した。
最新作「渋谷事変」にちなんだ渋谷の街を舞台に、『呪術廻戦』の様々なシーンで見られる結界術「帳」に覆われた空間を、WEB上で世界各国から体感することができる3Dコンテンツである。
#06「 制作依頼 」
今回依頼を受けた内容は、GAXで既にサービスとして提供しているR2Dをさらに拡張させ、呪術廻戦の世界観を表現しユーザーが楽しめる3Dコンテンツを制作することであった。
R2D(matterport)の拡張サービスは探すといくつか出てくるが、その大半はほんのわずかな拡張にすぎず、今回要求されているコンテンツ制作のクオリティには及ばない。
そこでmatterport×CGを掛け合わせて、matterportを応用した3Dコンテンツの制作ができる協力会社を探したところ、株式会社フィーリンク(https://space-create.info/)という会社に辿り着き、制作を依頼するに至った。

#07「 360°撮影 」
ロケハンでの失敗
ロケハン時はGAXのみでMatterport撮影を行った。しかし、360°カメラでの撮影時に位置関係が正しく認識されないエラーが発生し、広大な足利スクランブルシティスタジオの空間を上手く読み取ることができなかった。
この件に関してフィーリンクさんに相談したところ、屋外撮影に適した360°カメラへの変更や、明るい時間から撮影して空間を読み取った上で、日が落ちてから本撮影を行うことなど、豊富な知見から、的確なアドバイスをいただくことができた。当日の撮影もフィーリンクさんにお願いした方が確実であると判断し、撮影から依頼する運びとなった。
本番では成功
本番の撮影では、日が落ちていない日中の時間帯から、空間を読み取る撮影を開始。日が落ちてから、モデルを入れて撮影を行った。ロケハンの時のような撮影時のエラーは起こることなく、無事に撮影を終えることができた。
撮影時に苦戦したのは、360°カメラでの撮影のため、見えないところにライトを配置することができないということである。ライティングを行わずに撮影を行うにはあまりに暗い空間であったため、2本のナンライトをモデル横に置き、モデルやTシャツを照らすようにして撮影を行った。








この方法で撮影も問題なく行うことができ、また演出としての効果も大きく、スチールも含めた全体のトーンをまとめることができた。
#08「 合成 」
制作手順
3Dの制作を進めるにあたり、まず下記の素材を用意した。
- スクランブルシティスタジオにて撮影した360°画像×20箇所分
- 既存アセットの渋谷の3DCGモデルから建物の看板などを修正し、上記撮影画像と画角を合わせて切り出した360°画像×20箇所分
撮影した360°画像を地面と人物、信号機などが残るように切り抜いて、既存アセットのCG背景と合成させ馴染ませて、1枚ずつ生成していった。




エラー多発による代替システムの使用
ここまでに記載した方法で生成した画像をmatterportのシステムに戻していくことで、計20箇所の地点を自由に歩き回れるような3Dコンテンツが生成されるはずだった。
しかし納品日の前日に、matterportのシステム側の問題で、うまくデータを取り込めなくなるエラーが発生。
納品の前日という急なスケジュールではあったが、フィーリンクさんの知見をお借りして、急遽matterport(https://matterport.com/ja)ではなく、tourmkr(https://tourmkr.com/)という別なシステムに切り替えて、360°画像を取り込んで生成を進めた。
Matterportを使わなくなったことで、細かい挙動などが変わってしまったものの、ユーザーが自由に移動できる要素は想定していたものと変わらないので、代替システムによって、納品日に間に合わせることができた。
#09「 より細部へ 」
看板
今回の3Dコンテンツ内の渋谷の街の背景には全て、ユニクロ、UT、衣、半袖などという言葉を置き換えた架空の看板を設置している。また置き換えた際に、しっかりと看板としてのネオン感なども残るように看板のリアルな質感にも気をつけて制作した。

隠しコンテンツ
3Dの渋谷の中に潜む隠しコンテンツとして、各所に呪術廻戦に関連する小道具や落書きを仕込んだ。過度な演出ではなく、呪術廻戦のコアなファンしか気が付かないさりげない仕掛けにすることで、発見〜SNSなどへの発信を促す構造になった。







実際に日本で公開されてから、SNS内で3D渋谷の回遊を楽しむユーザーの様子も見られた。
#10「 動画 」
3Dコンテンツに付随して、大きく分けて下記2種の動画を制作した。
3Dコンテンツ内の素材を使用したり、帳が降りてくる様子のアニメーションを作ることで、どういったコンテンツなのかを表現できるものに仕上げた。
OP用動画
帳コンテンツのOP動画で3Dコンテンツに入る直前に流れる6秒動画
PR用動画
PR用としてWEBやSNSなどあらゆるところで使われる動画
#11「 海外展開 」
前編でも触れたように、このコンテンツは国内ももちろんではあるが、グローバルでの展開に重きを置いていた。
呪術廻戦の世界観に入り込み、さらに渋谷スクランブル交差点というアイコニックな場所を、日本のみならず海外からも自由に回遊できるコンテンツは他に類を見ない。国内外に多くのユーザーがいるUNIQLOだからこそできる取り組みであった。
日本での公開後に、同じようにUT×呪術廻戦のスペシャルサイトが海外でも展開されている。
「Anime JUJUTSU KAISEN Season 2 UT」


今回の取り組みはUNIQLO社内でも多くの注目を浴び、クリエイティブディレクターの河村さんからも高い評価をいただいた。
UNIQLO GLOBALのInstagramでも投稿され、国外でのコンテンツ閲覧も増えていくことが予想される。
#12「 これから 」
大規模なセットを使用してのスチール撮影のみならず、ここまでの大きな空間での3Dコンテンツの制作を行うことなど、誰が想像できただろうか。手探りの状態で企画を行い、協力先を探し、検証に検証を重ね試行錯誤の果てにようやく今回のコンテンツのローンチに漕ぎつくことができた。
“誰も作ったことがない、UNIQLO らしくないコンテンツを”
結果として、呪術廻戦UTは想定していた以上の売り上げとなり、一部の型が既に完売している。同時期に販売を開始したチェンソーマンのSNS反響・お気に入り登録数などを超えたという。これは目指し続けたもの対して、そして度々の無茶な要望にも、NOと言わずに全員で考え動き続けることができた結果だと私は考える。
できない理由を考えるよりも、不可能に見えることをどうやったら実現できるのかを考えたい。
今回のプロジェクトを通して身をもって痛感したことだ。
呪術廻戦がローンチしてまだ1ヶ月しか経っていないが、ありがたいことに、次のコラボレーションの撮影依頼もいただくことができた。これまで積み上げてきた実績も含めて信頼していただけていることを実感する反面、そこの期待には必ず応えなくてはいけないというハードルもある。ただ、次は何ができるのだろうとワクワクしている自分もいる。
クライアントの要望に確実に応えながら、より新しいことを求めて、自分たちであげたハードルを、自分たちで超えていきたい。
Yuina Miura
Yuki Watanabe
MEMBER
Art Director : Yasuaki Furusato
Production Manager : Yuina Miura
Yuki Watanabe
STAFF : Masashi Takayasu
Yuta Ozawa
Jun Tsuda
Account : Shiori Higuchi
Retoucher : Tsutomu Suzuki
Designer : Kazuki Hayashi
Haruka Chikada
Special Thanks : Yoichi Nakamura